衝撃波管によるノック予測反応モデルの検証 ~ 着火遅れ空白領域の計測に成功!~
本研究では,着火遅れの計測可能な加熱持続時間を飛躍的に延ばす新型衝撃波管の開発を行いました。図1のように高圧部を延ばして冷却膨張波の到達を遅らせ,4ミリ秒であった加熱時間を10ミリ秒まで延ばすことに成功しました(図2)。
この新型衝撃波管を用いてガソリン模擬燃料の着火遅れ(t)を測定しました(図3)。加熱持続時間の延長により,従来型衝撃波管(緑丸)とRCM(青丸)の計測可能温度の中間空白領域の測定が可能となり(赤丸),現在開発中のノック予測可能な国産反応モデルの高精度化に大きく寄与すると期待されます。
長島 広貴
上智大学 大学院
詳しくは:
平成28年度衝撃波シンポジウム ( http://jssw2016.swnda.jp/) 発表予定
コメント 上智大学 理工学部 准教授 高橋 和夫
着火遅れ計測に用いられる代表的装置として衝撃波管とRCMがあります。しかし,実際のエンジン燃焼でノック抑制のカギを握る重要な着火遅れの時間スケールは数~数10 msであり,これら2つの装置が得意とする温度領域の丁度中間に位置し,これまで実測が困難でした。本研究の成功により,見事にこの空白領域を埋めることができ,今後のノック機構解明に大いに貢献するであろうと期待されます。