SIP 革新的燃焼技術 ガソリン燃焼チーム

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研究開発体制

研究開発課題名 高効率ガソリンエンジンのためのスーパーリーンバーン研究開発

研究題目研究題目研究題目

研究機関名 職名 氏名 ◎研究責任者
〇主たる共同研究者
研究参加期間
リーダー大学 慶應義塾大学 特任教授(研究) 飯田 訓正 2014年10月~
教授 植田 利久 2014年10月~
准教授 横森 剛 2014年10月~
前専任講師
(有期)
西 美奈 2014年10月~2016年3月
研究題目
・プログラム全体の総括的業務、共有設備等の管理・運営
・超希薄・高流動燃焼場の瞬時熱流束計測による壁面熱伝達現象の解明
・燐光体を利用したエンジン内ガス流温度計測による壁面温度境界層分布の解析
研究開発の目的および内容
研究チームリーダ大学として、SIPエンジンラボの管理運営を行うとともに、SIP共用エンジンの設計・試作および熱効率の実証、およびモデル検証用データの取得・提供をおこなう。冷却損失低減のためのエンジン内壁面熱伝達現象の解明を行う。まず当量比とガス流動場が熱損失に及ぼす影響について燃焼室壁面の温度スウィングを計測し、燃焼室壁面における熱流束の1サイクル毎の時間履歴を解析して効率向上に資する熱流束スウィングを探求する。エンジン内ガス流中に添加された燐光体粒子の発光温度依存性を利用した非接触温度計測を実施し、エンジン駆動時の内壁面付近における火炎伝播と境界層温度分布を計測する。またPIVによりシリンダー内流動計測をクラスターとともに実施する。これらの知見は DNS等の数値解析法を用いた温度・流動場解析のための境界条件として各クラスター大学に提供され、それらの大学からのフィードバックをもとに、より高い冷却損失低減効果を狙った壁面熱伝達モデルの構築を行う。
クラスター大学1 東京大学 教授 津江 光洋 2014年10月~
准教授 中谷 辰爾 2014年10月~
研究題目
火花点火過程に関する詳細機構解明および数値解析手法構築
研究開発の目的および内容
定容密閉容器を用いて,静止場中および流動場における希薄予混合気の点火実験を行い,詳細な火花点火機構の解明および火花点火過程に関する数値計算手法の構築を行う.最小点火エネルギー,点火限界等の基本的な点火特性を明らかにするとともに,放電プラズマのスペクトル計測,近赤外2色法による温度計測を試みる.また,実験結果に基づき,一次元点火モデルを構築し、モデルの検証および改良を実施し、高精度化を図る。さらに,放電電圧,電極間距離,放電時間,放電周期等をパラメータとして,放電特性が火花点火特性に及ぼす影響を実験的に明らかにすることで,高性能点火装置開発に資する知見を得ることを目的とする.
クラスター大学2 日本大学 教授 秋濱 一弘 2014年10月~
准教授 今村 宰 2014年10月~
助手 岩田 和也  2017年4月~
研究題目
 火花点火特性に及ぼす流動特性の影響把握
研究開発の目的および内容
過給リーンバーンエンジンにおいて燃焼速度向上のため筒内の流動を高めると火花放電が吹き消えてしまうことがあるため、熱効率50%を達成するためには高EGR環境を含めて高流動場における安定した点火システムが必要となってくる。このような点火システムの開発に向けて、本研究では急速圧縮機を用いて点火プラグまわりの流動が火花点火特性に及ぼす影響について調べ、その知見を持って着火メカニズムの解明、点火システムの改良に資することを目的としている。
クラスター大学3 岡山大学 准教授 河原 伸幸 2014年10月~
研究題目
高乱流・超希薄燃焼時での火花点火メカニズムの解明と火花放電挙動のモデル化
研究開発の目的および内容
本研究では,圧縮膨張機関ならびに可視化エンジンにおいて,火花放電挙動の可視化ならびに分光計測を行い,火花点火メカニズムの解明ならびに火花放電挙動のモデル化を行う.高速度ビデオカメラを用いることで,高乱流・高EGR条件下での点火プラグに形成される火花放電挙動を可視化し,アーク放電挙動のモデル化を行う.高速応答ICCD分光器を用いることで,火花放電形成から点火に至る過程を詳細に把握する.また,点火プラグ組込型光ファイバレーザ・ドップラ流速計(LDV)を構築し,プラグ近傍での流動ならびに乱流特性を把握し,火花放電挙動に与える影響を調査する.
クラスター大学4 東京工業大学 教授 店橋 護 2014年10月~
准教授 志村 祐康 2014年10月~
助教 源 勇気 2015年9月~
研究題目
超並列直接数値計算と複合レーザ計測による高EGR過給リーン条件下の着火・火炎伝播と壁面熱伝達機構の解明とモデル構築
研究開発の目的および内容
高圧力及び高レイノルズ数条件下では、乱流微細渦が火炎内部構造にまで影響を及ぼすことが予測されるが、その燃焼機構は解明されていない。さらに、筒内流動の強化により吹き消えと冷却損失の増大が予測されるため、着火メカニズムと壁面熱伝達機構を解明する必要がある。本クラスター大学は、これまでに培った超並列直接数値計算及び複合レーザ計測技術をさらに発展させ、単一成分及び多成分燃料を対象とした各種乱流予混合火炎を対象として火炎伝播形態、乱流場が点火挙動に与える影響や壁面境界層構造と熱流束の関係等を明らかにする。さらに、得られた知見に基づき、乱流燃焼モデル、点火モデル及び壁面熱伝達モデルの構築を行う。
クラスター大学5 山口大学 教授 三上 真人 2014年10月~
准教授 瀬尾 健彦 2014年10月~
研究題目
高温・高圧条件での希薄予混合気の層流燃焼速度およびエンジンプラグ近傍流動の計測
研究開発の目的および内容
ガソリンおよびガソリンサロゲート燃料の希薄予混合気を対象に最高圧力4.0MPa,最高温度400Kにおいて燃焼試験を行い、ダブルカーネル法により高温・高圧場における層流燃焼速度を取得する。層流燃焼速度の圧力依存性の理解と他クラスター大学の実験結果を統合し、圧力・温度・空気比をパラメータとした層流燃焼速度算出式の構築を行う。さらに、層流燃焼速度を増大させる燃料性状に関する調査を行い、燃焼速度を向上させるために有効な燃料組成を提案する。また,強タンブル流を形成できる可視化エンジンにPIV計測を適用し、流動が点火挙動に及ぼす影響についての調査を行う。この結果は、難点火環境下での点火の実現に向けた点火モデルの構築に重要となる。さらに、エンジン実機を用いてのモデルの妥当性の検証を行い、火花点火機構の解明を目指す。
クラスター大学6-1 九州大学 教授 村瀬 英一 2014年10月~2017年3月
准教授 森上 修 2015年4月~2017年3月
非常勤講師 橋本 英樹 2014年10月~2017年3月
研究題目
超希薄高EGR下での火炎伝播促進手法の提案と検証
研究開発の目的および内容
乱れによる燃焼促進には、火炎伸長による局所的な消炎が原因となり限界がある。そこで、酸素富化膜により吸気中の酸素濃度を増加させる方法等、乱れ以外による燃焼促進手法について変化させた際の熱効率向上効果を単気筒エンジンにより検討する。さらに、共用可視化単気筒エンジンにおいて、時系列投影粒子画像流速計を用いて吸気圧縮行程中の平均流速および乱れ強さの計測を行うとともに、レーザ誘起蛍光法および化学発光分光法による火炎構造の計測を行い、燃焼促進手法を検証し、超希薄高EGR下での熱効率向上効果を評価する。
クラスター大学6-2 九州大学 教授 北川 敏明 2014年10月~
准教授 渡邊 裕章 2015年4月~
助教 永野 幸秀 2014年10月~
研究題目
超希薄高EGR下での乱流燃焼促進手法の提案
研究開発の目的および内容
高強度流動場において想定されるthin reaction zones またはbroken reaction zonesと呼ばれる乱流火炎構造の領域において、火炎構造の計測を行う。そして乱れおよびバルクフローがエンジン燃焼に与える影響を評価し、定容燃焼装置・急速圧縮装置による実験結果に基づき乱流燃焼速度モデルおよび燃焼促進に最適な流れ場を提案する。それとともに、単気筒エンジンの希薄運転時の燃焼特性を筒内圧力により把握し、この結果を乱流燃焼速度モデルに反映するとともに、燃焼促進を図る。さらに、乱流燃焼速度モデルを用いた定容燃焼装置内の火炎伝播の数値予測により、燃焼促進手法や乱流燃焼速度モデルの開発,検証を行い、火炎伝播特性評価手法を確立する。
クラスター大学7 大阪府立大学 教授 瀬川 大資 2014年10月~
助教 片岡 秀文 2014年10月~
研究題目
超希薄・高EGR燃焼における層流燃焼速度の計測と燃焼反応機構の検証
研究開発の目的および内容
超希薄・高EGR燃焼の想定条件において、エンジン燃焼数値計算で必要となる簡略燃焼反応機構の予測精度を向上するため、検証データとして層流燃焼速度の実験データを取得する。ガソリンまたはそれに相当する液体燃料を対象とし、とくに当量比およびEGRへの依存性を検討する。実験の実施には、自由落下法による微小重力環境を利用する。代表的な反応機構を組込んだ汎用燃焼計算コードにより層流燃焼速度の数値計算を行い、その結果を実験データ(九州大学、山口大学の結果を含む)と比較する。それにより、代表的な簡略燃焼反応機構の予測精度を評価し、課題を明らかにする。その課題は、新たなモデル構築への基盤情報として共有化される。
クラスター大学8 徳島大学 准教授 名田 護 2014年10月~
教授 木戸口 善行 2014年10月~
研究題目
高EGR過給リーンバーン条件における乱流燃焼速度のモデル化と壁面近傍における火炎伝播機構の解明
研究開発の目的および内容
本研究では,一様等方性乱流中を伝播する,高EGR過給リーンバーン条件における乱流予混合火炎の直接数値計算を行い,乱流火炎データベースを構築する.このデータベースを基に,実機条件に対応した乱流燃焼速度のモデル化を行い,筒内流動の強化による燃焼速度向上の効果を検討する.また,閉空間内を伝播する乱流予混合火炎の直接数値計算を併せて行い,壁面近傍の燃焼速度と熱流束を予測可能なモデルを提案する.これら二つの結果を併せて,高EGR過給リーンバーンエンジンの燃焼限界の拡大と冷却損失低減を両立可能な手法を確立する.
クラスター大学9 千葉大学 教授 森吉 泰生 2014年10月~
准教授 窪山 達也 2014年10月~
客員教授 山田 敏生 2014年10月~
客員教授 森川 弘二 2014年10月~
研究題目
過給スーパーリーンバーンにおける燃焼変動、ノック発生、熱損失の現象解明と高効率ガソリン燃焼技術の創出
研究開発の目的および内容
従来を超える極めて希薄なスーパーリーンバーンの実現においては、燃焼変動とノック発生の抑制と熱損失低減を同時に成立させる必要があるが,エンジン燃焼サイクルにおいては、火炎伝播、エンドガスの自着火、壁面熱伝達は相互に影響し合う現象であり、個別の現象解析とともに総合的な解析と現象理解が重要である。本研究では、過給超希薄燃焼を試験エンジンで実現し,サイクル毎の燃焼圧力解析、燃焼の可視化、排気成分分析、熱バランス解析などを行うことで、エンジン燃焼サイクルの観点から、高効率スーパーリーンバーン実現のために必要な技術課題を抽出する。次いで、燃焼の気筒間バラつき、サイクル変動、ノック発生、熱損失の支配因子を実機を用いた実験と理論の両面から明らかにし、スーパーリーンバーン燃焼の実現手法を提案する.また、各クラスター大学、および損失低減チームとの連携のもと、過給リーンバーンエンジンの1Dサイクルシミュレーションモデルを構築する.
クラスター大学10 東京工業大学 教授 小酒 英範 2014年10月~
准教授 佐藤 進 2014年10月~
助教 長澤 剛 2018年4月~
研究題目
エンジン内壁面熱伝達機構の解明およびノックと熱伝達の相互作用機構の解明
研究開発の目的および内容
本研究では、過給リーンバーンエンジンにおける熱伝達現象を、エンジンでは実施困難な、各種レーザ計測を適用可能な急速圧縮膨張装置を用いて、壁面境界層内の気体温度、流速、壁面温度、壁面熱流束を計測することで解明し、エンジン開発に利用可能な壁面熱伝達モデルを作成する。また、ノックの発生時期と場所の計測も実施し、壁面熱伝達とノックの関係をモデル化する。さらに作成したモデルを用いて、過給リーンバーンエンジンのサイクルシミュレーションを実施し、熱効率向上のための冷却損失低減技術の指針を示す。
クラスター大学11 東京農工大学 教授 岩本 薫 2014年10月~
研究題目
冷却損失低減のためのエンジン内壁面熱伝達機構の解明と壁面微細構造の最適化による熱伝達率低減
研究開発の目的および内容
エンジン内壁面熱伝達機構を解明するために、共用単気筒可視化エンジンにおけるスーパーリーンバーンの壁面境界層内流速分布を高精度に計測する。高分解能LDVを用いて種々の乱流統計量を計測し、定常乱流境界層の相似則からの差異を定量的に評価する。さらに、境界層の非定常性を計測し、境界層内の支配的な速度場構造を定量的に同定する。速度場計測の結果を基に,独自の壁面微細構造の最適化や,エンジン内全体の流れ場を変更する壁面形状を提案し,熱伝達率低減を目指す。
クラスター大学12 東京都市大学 教授 三原 雄司 2014年10月~
研究題目
壁面熱流束を定量計測するセンサの開発
研究開発の目的および内容
壁面境界層内の熱流れの構造把握や熱伝達モデルの検証及び燃焼状態や壁面材料とその微細構造が冷却損失低減に与える効果の実証のために、高精度・高応答の瞬時温度センサを開発する。瞬時熱流束は、燃焼ガス温度と各壁面温度から求めるため、各壁面の瞬時温度を計測できる熱容量が極めて小さい薄膜型センサとし、多点同時に高精度計測を実現する計測システムを開発する。2014年はセンサ設計及び試作、計測システム開発、2015年は実験装置(RCEM)への適合化、2016年はRCEMによる熱伝達モデル作成用実験、2017年は、冷却損失低減技術の効果の検証実験、2018年は単気筒エンジンでの冷却損失低減効果の実証を行う。
クラスター大学13 東京大学 教授 鈴木 雄二 2014年10月~
研究題目
エンジンシリンダ用ワイヤレスMEMS熱流束センサの開発
研究開発の目的および内容
本研究では、膜厚方向に独立した無線温度センサを配置することによって、膜厚方向の温度勾配から熱流束を算出することのできるMEMSセンサの開発を行う。本センサは小型・薄型であるだけでなく、電磁誘導カップリングを用いてデータ取得を行うため、光学的アクセスが不要であるにもかかわらず非接触で測定できる。また、コンデンサとコイルの受動素子のみから成り立っているため燃焼場にも適用可能である。本研究では、このワイヤレスMEMS熱流束センサを試作し、シリンダ内での熱流束計測法として確立するとともに、多点同時測定の実現を目指す。
クラスター大学14 明治大学 教授 中別府 修 2014年10月~
研究題目
MEMSを用いた高空間分解能熱流束センサの開発
研究開発の目的および内容
過給リーンバーン燃焼における冷却損失機構を明らかにし、冷却損失低減技術を創出するため、本研究は、MEMSセンサをエンジン内壁面へ適用し、燃焼ガスから壁面への熱伝達を詳細に計測する技術の開発を目的とする。このため、高い時空間分解能を持つが通常は繊細でエンジンとなじまないMEMSセンサをエンジン内壁へ適応させる金属基板MEMSセンサ技術を開発し、これを発展させた多点熱流速センサを製作する。境界層の燃焼・速度・温度場の詳細な光学計測結果と開発したMEMSセンサによる壁面側熱伝達情報を組み合わせ、DNS解析等と統合することで冷却損失機構の詳細な把握と、冷却損失低減技術の解析精度の向上が見込める。
クラスター大学15 同志社大学 准教授 松村 恵理子 2014年10月~2016年3月
教授 千田 二郎 2014年10月~2016年3月
研究題目
混合気形成の時空間的変化および温度成層化による冷却損失低減研究
研究開発の目的および内容
燃焼室内における冷却損失低減のための熱伝達過程のメカニズムの基礎的な解析を目的に、種々の噴霧形成手法を用いた混合気濃度分布の時空間的な変化とそれに起因する燃焼室内の火炎温度制御-温度成層化と熱伝達過程の相関を調べる.また,噴霧形成~混合気濃度分布~火炎伝播~壁面近傍の温度境界層の種々の過程が熱伝達過程へどのように影響するかを究明する.最終的には噴霧形成手法の観点からガソリンエンジン内の熱損失低減の究極的な可能性を検証するため、熱損失の低減につながる燃料加熱による早期蒸発噴霧の形成、燃料過熱による減圧沸騰噴霧の形成の手法提案研究を実施しエンジン実機を用いて燃焼室内流動場条件のもとで評価実験を行う。
クラスター大学16 日本大学 教授 田辺 光昭 2014年10月~
准教授 飯島 晃良 2014年10月~
助教 齊藤 允教 2017年4月~
研究題目
実機および急速圧縮機を用いたノック発生メカニズム解明とノック抑制コンセプト創出
研究開発の目的および内容
ガソリンエンジンの高圧縮比化を阻害するノッキング現象につき,発生条件や抑制のための指針を得ることを目的とする.基礎現象を模擬できる急速圧縮装置と実機に近い単気筒エンジンとを併用し,混合気の基礎特性と,実用課題とを分離して現象の支配要因を分析する.過給圧・EGR・筒内分布・希釈ガス種・乱れとノック発生との関係を調べ,分光分析による反応分析と合せてノッキングを抑制する鍵を探り出す.
クラスター大学17 東北大学 教授 丸田 薫 2014年10月~
准教授 中村 寿 2014年10月~
研究題目
温度分布制御マイクロフローリアクタによる実用・サロゲート・単成分燃料の着火・燃焼特性把握と反応機構最適化に関する研究
研究開発の目的および内容
高圧縮比下における適切なノック制御の実現には、燃料の自己着火特性、特に多段酸化反応特性を適切に把握し、大規模化学反応数値計算や直接数値計算(DNS)によるノック機構の解明・制御を図る研究との有機的な連携が必要である。ここでは着火特性研究に一般に用いられる衝撃波管やRCMを代替する独自手法「温度分制御マイクロフローリアクタ」を用いることで、実ガソリン・サロゲート・単成分燃料の着火・燃焼特性の詳細を把握するとともに、数値計算研究チームが使用する各種反応機構の精度検証・改良や簡略化反応機構の最適化を行う。また燃料リーンかつ高温高圧条件、さらに高EGR率における層流燃焼速度や着火特性など、通常手法では非常に困難な基礎燃焼特性に関する情報を提供する。
また、評価結果を受けて、点火~伝播の遷移過程を対象に、勉強会を通して班間連携を深化させ、基礎実験の実施により、現象解明を進める。以って、熱効率向上に資する超希薄条件における確実な点火~伝播の遷移および燃焼終了までの技術提案を志向し、要素モデルに必要な物理現象を把握することで基盤ソフトウェアの開発に貢献する。
クラスター大学18 茨城大学 教授 金野 満 2014年10月~
教授 田中 光太郎 2014年10月~
研究題目
急速圧縮装置による実ノック条件を想定したガソリンの着火特性把握と簡略化反応モデルの開発
研究開発の目的および内容
熱効率50%を狙った火花点火エンジンでは,高圧縮比に加えて希薄・高過給・高EGRの運転領域が拡大するが,従来に比べて高い圧力における低燃料濃度混合気やEGRガス成分を含む混合気の着火データは極めて不十分である.本研究では,熱効率50%を目指すエンジン筒内に近い圧力,温度,燃料濃度,EGR条件における実ガソリンの着火遅れ時間を,急速圧縮装置を用いて計測し,実ガソリンの着火特性を明らかにすることを目的とする.さらに,実ガソリンの素反応モデル構築に有用な中間生成物の光学計測を行い,ノックメカニズムの解明とノック抑制技術開発に資する実ガソリンサロゲート簡略化反応モデルを開発することを目的とする。
クラスター大学19 上智大学 教授 高橋 和夫 2014年10月~
研究題目
加熱型高圧衝撃波管による実燃料の着火遅れ計測と実機関における自着火指標の構築
研究開発の目的および内容
ノッキングを抑制・防止するためには,ノッキングを予測するための実燃料に関する反応モデルが必要となる。包括的な着火反応モデルを構築・最適化するためには,その礎となる高圧着火の実験データが不可欠となるが,実燃料かつ超希薄条件下での実験はこれまでにほとんど行われていない。本研究は熱的・化学的に均一な理想的な反応場である衝撃波管を用いて,これらの高圧着火データを提供するものである。さらに,ガソリン中の化学成分の違いが超希薄条件での着火特性にどのように影響を及ぼしているのかを反応論的に探り,現行オクタン価に代わる新しい自着火指標の構築を目指す。
クラスター大学20 北海道大学 准教授 寺島 洋史 2014年10月~
研究題目
高効率反応性流体計算によるノック末端ガス圧力波発生メカニズムの解明とノック抑制法の創出
研究開発の目的および内容
ノック現象の解明には、壁面近傍を含めたエンジン燃焼流動場において、流体、熱、そして化学反応現象の相互作用を明らかにすることが重要である。熱効率50%を狙う超希薄燃焼や強タンブル流といった極限的な条件下では、その重要性は顕著なものとなる。本研究では、詳細反応機構の導入による化学反応の高忠度なモデル化、それを直接的かつ超効率的に流体解析手法と一体化できる高効率数値解析手法を開発する。その適用により、壁面及びエンジン熱流動のノック現象の影響、特に、未だ不明確な末端ガス内における圧力波発生メカニズムを解明する。燃料の種類や当量比など代表的なパラメータを用いた体系的な解析を実施し、実験結果との比較を含め、物理現象理解に基づいたノック抑制技術の創出を行う。
クラスター大学21 広島大学大学院工学研究科 教授 三好 明 2014年10月~
准教授 下栗 大右 2017年4月~
研究題目
ガソリンサロゲート詳細反応機構構築と反応論的ノッキング解明
研究開発の目的および内容
衝撃波管による着火遅れ時間を検証データとし量子化学計算を駆使してガソリンサロゲート反応機構の構築を行う。開発目標である、超希薄・高過給・高EGR率・高圧縮比・高タンブル条件におけるノック解明のために、RCMによる筒内条件の着火遅れ計測が再現できることを目標とする。 ノック発生機構を低空間次元モデルにより明らかにするための技術を開発し、簡略化機構を用いたCFD解析の結果に反応論的な根拠を与えることを目標とする。これらの解析結果から、超希薄・高過給・高EGR・高圧縮比・高タンブル条件におけるノック抑制燃焼のコンセプトの提案への貢献を目標とする。
クラスター大学22 大阪工業大学 教授 桑原 一成 2014年10月~
研究題目
ガソリンサロゲート燃料のノッキング発生機構解明とノッキング抑制手法提案に関する化学反応論的解析
研究開発の目的および内容
三好(広島大)・酒井(福井大)が協同して構築するガソリンサロゲート燃料の詳細反応機構が記述する着火反応経路を読み解くことにより、レギュラー・ハイオクガソリンの着火特性に影響をおよぼす因子を定量的に明らかにするとともに、超希薄・高過給・高EGR・高圧縮比・高タンブル条件におけるノッキング特性に反応論的説明を与える。この反応解析により得られる知識にもとづき、実機のノッキング発生時期を高精度で予測可能な低空間次元モデルを開発する。また、超希薄・高過給・高EGR・高圧縮比・高タンブル条件におけるノッキング抑制の反応論的手法を提案する。
クラスター大学23 福井大学 准教授 酒井 康行 2014年10月~
研究題目
素反応群の構築およびその簡略化
研究開発の目的および内容
衝撃波管の着火遅れ時間を検証データとし,三好(広島大)と協同して量子化学計算を駆使しガソリンサロゲートの反応機構の構築を行う.ノック解明のために,金野・田中(茨城大)による筒内条件の着火遅れ計測が再現できることを目標とする.また,寺島(北大)および店橋(東工大)・名田(徳島大)によるDNS計算に必要となるガソリンサロゲートの簡略化機構の構築手法を開発する.簡略化機構が詳細反応機構と同レベルで筒内条件の着火遅れ計測を再現できることを目標とする.これらの解析結果から,超希薄・高過給・高EGR・高圧縮比・高タンブル条件におけるノック抑制燃焼のコンセプトの提案に貢献する.
クラスター大学24 上智大学 教授 申 鉄龍 2015年10月~
研究題目
リーンバーンSIエンジン制御のためのモデリングとオンボード最適化手法
研究開発の目的および内容
ガソリンエンジンの希薄燃焼モードにおける熱効率向上とサイクリック・気筒間のバラツキ削減を目的とするモデル構築とオンボード最適化制御アルゴリズムの開発を目的とする。従来の動力学システム論的視点と保存則に基づくサイクル間気筒内状態の遷移過程に着目した確率論的モデリング手法を融合し、新しいモデリング及び制御手法の創出を目指す。具体的には、確率統計論的知見に基づいたリーンバーン境界領域のモデリング手法を確立し、リアルタイムの作動領域制限を考慮した効率最大化制御アルゴリズムを開発する。さらに、確率統計制御指標をオンライン制御の評価として導入し、確率分散抑制によるサイクル間バラツキ抑制を実現すると同時に、点火時期、燃料噴射量及びバルブタイミングの気筒毎制御による気筒間バラツキ抑制手法を開発する。
クラスター大学25 産業技術総合研究所 上級主任研究員 高橋 栄一 2016年4月~
主任研究員 瀬川 武彦 2016年4月~
研究題目
誘電体バリア放電を用いた予混合気の燃焼促進法の開発
研究開発の目的および内容
超希薄・希釈燃焼の実現を目指して,ガソリン予混合気にバリア放電プラズマ照射を行うことで燃焼を促進する技術を開発する.本提案では様々な条件の予混合気へのプラズマ照射により生成される化学種と着火の促進機構を調べるとともに,予混合気中のプラズマ放電形成によるプラズマ化学反応効果に加え,プラズマによる静電流体力学効果を併せて用いる.エンジン筒内に設置したリアクタを用いてプラズマが照射された予混合気を筒内で流体的に制御することで要求される燃焼促進効果を実現する。
クラスター大学26 大阪府立大学 大学院 工学研究科 機械系専攻 教授 須賀 一彦 2017年4月~
准教授 金田 昌之 2017年4月~
助教 桑田 祐丞 2017年4月~
研究題目
RANS-LESハイブリッドモデルの壁関数に関する研究
研究開発の目的および内容
RANS(主として定常流)用に開発されてきた解析的壁関数(AWF)モデルをエンジン筒内非定常RANS解析に適用できるように拡張し、RANS 版HINOCAの予測精度改善と低計算コスト化に貢献する。あわせてLESの壁モデルとしてのAWFを開発・提案することでHINOCA 竹モデル(LES版)の実用性を高めることを目標とする。非定常RANSとLESに対応するAWFを融合させRANS-LESハイブリッドモデルに対応できるようにし、HINOCA対応WG内の他クラスター大学で実施される非等方サブグリッド・スケール(SGS)モデルやRANS-LESハイブリッドモデルに関する最新の研究と連携することで、HINOCA対応WGで一体となってコードの予測精度改善および格子数低減効果による実用性能の向上に貢献する。
クラスター大学27 九州大学 大学院工学研究院 教授 安倍 賢一 2017年4月~
助教 木原 尚 2017年4月~
研究題目
スケール相似則モデルの特徴を反映した非等方SGSモデルと非線形RANSを用いたハイブリッド乱流モデルの高精度化に関する研究
研究開発の目的および内容
本研究では、複雑な要因が絡み合ったエンジン筒内流動場を高精度で予測するための乱流モデルを新たに開発することを目指す。その目的を達成するための有望な手法としてLES/RANSハイブリッドモデルに着目し、壁面近傍の流れの特性に応じてLESとRANSが適切に切り替わるような、新しいLES/RANSハイブリッドモデルの接続関数を構築する。新たに開発した乱流モデルを導入して広い運転条件への対応を可能とすることによりHINOCA-RANS版およびHINOCA-LES版の高精度化に貢献する。
クラスター大学28 名古屋工業大学 技術部情報解析技術課 課長 服部 博文 2017年4月~
名古屋工業大学大学院工学研究科 准教授 保浦 知也 2017年4月~
研究題目
マルチタイムスケール熱伝達モデルに関する研究
研究開発の目的および内容
エンジン筒内壁面近傍および壁面内への熱伝達・熱伝導現象の高精度予測に向け、様々な壁面熱的境界条件を持つ乱流境界層熱伝達場の直接数値シミュレーション(DNS)およびレイノルズ平均ナビエ・ストークス・シミュレーション(RANS)を行い、既存のマルチタイムスケール熱伝達モデルの予測精度を評価するとともに、そこで得られた物理的知見および経験的知見を提供する。また、HINOCA対応WG内で実施されるエンジンRANS筒内シミュレーションに関する研究と連携し研究を実施することで、HINOCA対応WGで一体となってHINOCA-RANSの予測精度改善に貢献する。
クラスター大学29 慶應義塾大学 理工学部 教授 深潟 康二 2017年4月~
研究題目
エンジン筒内流動予測用DESとハイブリッドRANS/LESに関する研究
研究開発の目的および内容
エンジンシリンダ壁面近傍の乱流挙動の高精度予測に向け,カノニカルな系の乱流である円管内乱流のラージ・エディ・シミュレーション(LES),レイノルズ平均ナビエ・ストークス・シミュレーション(RANS)およびデタッチト・エディ・シミュレーション(DES)を行い,開発したコードの妥当性を評価するとともに,パラメータのチューニングなど,そこで得られた物理的知見および経験的知見を提供する.また,HINOCA対応WG内で実施されるハイブリッド壁関数や非等方サブグリッド・スケール(SGS)モデルに関する研究と連携し研究を実施することで,HINOCA対応WGで一体となってHINOCAの予測精度改善に貢献する.